14章2 バックアップシナリオ
ここでは一般的なバックアップの運用手順を解説します。この具体例をスモールビジネスでの「バックアップ to ディスク to テープ」に最適化した運用のための構成に応用するには、14章3.2を参照ください。
14章2.1 スモールビジネスにおけるバックアップ運用例
スモールビジネスでのバックアップには、シンプルで簡単な手法として、テープメディアによる「3世代管理」が用いられます。この定番のバックアップ運用手法を解説します。
- フルバックアップを週末ごとに実行するようにスケジュールしたバックアッププランを作成します。
- さらに1つのプランを作成し、毎日更新されるデータをバックアップできるように、夜間などの就業時間後にスケジュール実行します。
これらの2つを組み合わせることで、日々の作業のバックアップと共に、週末に行われるフルバックアップによって、より確実で安全なバックアップサイクルが完成します。
次のサイクルは、フルバックアップを別のセットのテープに保存されるように行います。前の世代のテープセットは安全な場所に保管します。また、容量に空きがあればメディアチェンジャーにそのまま収容させておくこともできます。
3つめのバックアップサイクルは新しいテープセットに保存します。こうして3つの「世代」が完成します。
1つめのバックアアップサイクルは1世代目は祖父、2つめのバックアップサイクルは親,そして3つめのバックアプサイクルが子となります。一番古いテープセットは、次のバックアップサイクルで上書きして使われます。この例では、各テープセットが3週間ごとにリサイクルされ再利用されることになります。
この例では3世代管理を取り上げましたが、もちろん4世代以上のサイクルや、場合によっては2世代だけのサイクルを設定して運用することもできます。
ただし、1世代のみ、単一のバックアップサイクルだけでの運用はデータ消失のリスクが増大するため推奨できません。サイクルが1つだけの場合は、バックアップを実施するごとに常にバックアップデータを消去することになり、安全性の観点から適切とは言えません。
この例で示した3世代サイクルのバックアップには、個別のメディアプールの利用をおすすめします。
バックアッププランでP5が自動的にテープをリサイクルできるように、このバックアッププランのデータ保持期限(リテンションタイム)は、バックアップサイクルの日数よりわずかに短い数に、サイクルの数を掛けあわせた数を設定する必要があります。
例えば、この3世代管理の例では、1週間より少ない(6日目)を予定し、サイクルの数(3)と掛けた、18日をデータ保有期限として設定します。
P5が各サイクルを新たなテープで始まるようにするには、バックアッププランの「ボリューム使用」を「新規メディア」に設定します。