2章 イントロダクション
2章1 バックアップ
データの消失や不整合の発生を未然に防ぎ、また被害を最小限に止めるのが、日常的なデータのバックアップです。万一データが消失した時に、バックアップからデータを復元する場合には、できる限り最近の状態にリストアすることが理想です。サーバーが導入された環境では、MacやPCなどのネットワーク上のさまざまなプラットフォームで作られたファイルが共有ファイルサーバーに集中して保存されます。このような環境では最小の時間でバックアップが完了することが求められます。通常はこうした大容量のデータのバックアップは、夜間など限られた時間帯に実施されます。管理者の操作を必要とせず、無人で自動的にバックアップが実施されなければなりません。
P5は高度なレベルのデータセキュリティを多段階かつ複合的に実現する豊富な機能を備えています。利用環境の構成と求められるセキュリティレベルに応じて、複数のメディアドライブを同時に使ってのバックアップにも対応します。
P5はストレージライブラリ(メディアチェンジャーやジュークボックスなど)の制御・維持管理に対応し、完全に自動化されたバックアップを実現しています。自動化されたバックアップでは、バックアップやリストアを実施する時にも手作業によるメディアの交換を必要としません。
ハードウェアが関わる必要な操作は最小の設定、監視とメンテナンスに注がれます。P5のログはすべての操作手順と実行状況が記録され、オンデマンドでemail配信されます。
バックアップ対象のデータはファイル構造にインデックス化され、データ復元の実施に備えます。検索やブラウズを目的としたインデックスは、あとからのデータ復元に使用されます。データのバージョンファイルは自動的に保管され、より古いバージョンのファイルが簡単に復元できるようになっています。 P5はインデックスファイルを透明かつ自動的に維持します。また、インデックスファイル自体も自動的にバックアップされます。
Archiware P5は、3種類の異なるバックアップモードを提供しています。
●フルバックアップ
すべてのファイルとフォルダをバックアップします。フルバックアップごとにP5は新しいインデックスファイルを生成します。インデックスファイルをつかって、ユーザーはリストアしたいファイルを特定が可能です。
●増分バックアップ
直近に実施されたフルバックアップから改変・追加されたファイルのみをバックアップします。P5は新たなインデックスを生成せず、既存のインデックスを追補して変更、変化に対応します。
他のバックアップシステムでは、ファイルの改変日時を手がかりとしてファイルの変更を検出して新しい情報をインデックスに追加しますが、P5では対照的にインデックスを参照してファイルシステムの状態を比較対照することで、新たにバックアップされるべきデータを正確に特定しています。これにより、移動されただけで更新日付に変化のないファイルも検出することができ、ファイルシステム内の移動先の新しい場所で正確にリストアが可能です。
さらに意図的に消去されたファイルも検出され、リストアされません。これにより特定の時間軸上の特定のポイントでのファイルシステムをありのまま検出することができます。 さらに増分バックアップは継続的にバックアップされたデータを維持管理し、ファイルシステムの最新の状態を保持しながらインデックスをクリーンアップし続けています。
古いデータを清掃し、古いテープからインデックスを更新してテープを自動的にリサイクルします。データはリテンションウィンドウで指定された保持期間を過ぎたデータのみが除外されて消去されます。
現在のシステムの最新の状態が完全なスナップショットとして保持されます。この独自の機能はつねに増分バックアップによって維持され、不要なフルバックアップを頻繁に取る無駄を解消しています。特に巨大なファイルシステムを常時バックアップするためには不可欠な機能です。
またさらにオートメーション装置で制御されたテープの本数とインデックスも管理することができます。この機能なくしては大規模なファイルシステムを実用的な時間内でフルバックアップを取ることは事実上不可能です。
●合成フルバックアップ(クイックフルバックアップ)
合成フルバックアップは、ファイルシステムの直近のバックアップ状態を以前の複数のバックアップを利用して生成する機能です。どのメディアに記録されているデータであるかは関係なく、インデックスを素直に反映させたバックアップです。
合成フルバックアップはサーバーやワークステーションのデータを必要とせず、既存のバックアップされたデータのみをもとにして実行されます。
このデータは、インデックスと新しいメディアセットのみに関連付けられており、P5はシステムリソースへの負荷をかけることなく新しいフルバックアップを生成するので、日常業務に支障をきたすことなくフルバックアップを実行することができます。
合成フルバックアップでは、テープチェンジャーなどの機器もふくめ、P5メディア管理機能が自動的にバックアップが保存されているメディアとバックアップ生成先のメディアを特定して取り扱います。