Cantemo

英国大手新聞社のGuardian News & Media、がCANTEMOでシステムを更新

世界2位の英字ニュース媒体のウェブサイトでの動画ニュース配信

英国ロンドンのGuardian News & Media (GNM)社は、新聞「ガーディアン」紙および「Observer」紙を発行する世界を代表するメディア企業です。新聞の他にtheguardian.comウェブサイトも運営しています。1999年にサービスを開始したウェブプラットフォーム「Guardian Unlimited」は、今日1億4000万のユニーク閲覧者を数え、オンラインの英字ニュース媒体としては世界第2位の読者数を誇っています。

インターネット黎明期以来、先進的に映像メディアの利用を拡大し続けてきたガーディアンは、新たに映像データ活用の最前線に立ちたいと考えるようになります。

「今回の設備更新は、スタッフがあらゆる場所からすべての映像にアクセスしたいという要求を満たすことが動機となりました。記者や編集者といった社員が、ウェブベースのインターフェイスを通じて、いつでも、世界中のどこからでもビデオなどのリッチメディアの再生・閲覧、アップロード、編集、内部承認のすべての操作が行える環境が求められていました。この要望はまさにCantemo Portalが提供する機能にぴったりでした」(ニール・アンダーソン NMR社 社長)

「携帯端末などテレビ以外の機器からブロードバンドを通じ、オンデマンドで映像コンテンツを求める大衆の要求を満たす。まさに放送業務の新時代です」(グラント・ブレムナー : デジタル革新コンサルタント)

従来のシステムは更新時期を迎え、ガーディアン社は、全社で利用が可能な堅牢なアセットマネジメントシステムの模索をはじめました。複数のメーカーやSI企業、販売店と接触して吟味を重ねた結果、映像システム構築に特化し、映像メディア活用の技術に深く精通したNMR社が選ばれました。

「システム更新は間違いなく確実な大成功を収めました。ガーディアンの社員は、以前のシステムで問題となっていた毎回の遅延や容量不足、技術的な問題の発生に悩まされること無くコンテンツ制作に集中できます」(マット・ホワイティング  Guardian News & Media システム運用責任者)

ガーディアンの映像編集およびコンテンツ制作は、柔軟で将来耐性に富むCantemo Portal Enterprise DAMを中心としたシステムによって更新されました。Vidispine MAMバックボーンAPIを利用し、Final Cut Server で管理されていたコンテンツはCantemo Portalにマイグレートされ、Cantemoでの集中管理により、ガーディアンの記者や制作スタッフから世界中のどこからでもアクセスできるようになりました。その利用は単なるコンテンツ管理およびプロジェクト共有だけにとどまることなく、コンテンツ発掘ツールとしての役割や、配信方法の改善にも役立てられています。

 ● 担当SI企業 : NMR nmr.com
● システム構成概要

    Cantemo Portal
    Cantemo Annotation Tool
    Cantemo Rough Cut Editor
    Cantemo Rules Engine
    Cantemo Active Directory App
    Cantemo Report and Audit Tool
    Cantemo Adobe Premiere Pro App
    Quantum StorNext
    Tools on Air Just:In
    Object Matrix MatrixStore

エンタープライズブロードキャストの近代化

英国民放最大手の放送局、ITV。同局が標榜する「integrated producer broadcaster」、すなわち「放送事業者と制作者が一体化された存在」の略称を局名として冠するように、幅広い分野のオンデマンドコンテンツを、旧来の地上波テレビ放送にとどまらない数多くのプラットフォームを通じて供給しています。またITVは直系のプロダクションITV Studiosで制作した番組などの放送コンテンツを同局の系列ネットワークおよび全世界の供給先にむけて提供しています。

2010年、ITVは急成長するファイルベース技術を効率良く取り込むことを目指し、コンテンツ配信の近代化に乗り出します。計画が順調に行けば、このプロジェクトは局全体のマルチプラットフォームコンテンツ配信のありかたが全面改修されることが予想されました。2013年、Cantemo Portalの試験導入を決定しました。現在、非常に洗練されたシステムにより、放送されるITVのコンテンツは、生放送以外の収録された番組であれば視聴形態を問わず、どこかの段階でかならずCantemo Portalで管理されています。

「良い物は買おう」を合言葉に、特注システムよりも既成品の応用でコスト削減。

ITVのコンテンツデリバリー近代化計画プロジェクトチームは、計画発足とともに、まずコンテンツデリバリーを取り巻く数々の問題を明確に洗い出す作業に着手し、諸問題を明確に列挙しました。当時のITV内部のファイルベースワークフローへの対応能力はゼロに等しく、コンテンツ配信に関して、は社外の専門業者への外注に頼っていました。また、会社の変革スピードとレベルも同様に、向こう6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月の間にわたって必要となる配信量の予測を立てる事もままならない状況でした。

伝統的に大規模な放送局は、これまで放送業務の進化に伴う問題を、メーカーへ発注して開発された特別仕様の機材で解決してきました。こうした複雑化する業務を甘く見積もることはできませんが、特別仕様の開発案件では、費用はあっという間に膨大な金額に膨れ上がるものです。そこでITVは、目的を果たすために機器の構築と開発の折衷策により、最も効果的な方法を用いて対応することにしました。
汎用の既成品を組み合わせ、目的に合わせて洗練させていくことが、今回のプロジェクトの諸要求を満たす近道であるということが、明確になってきました。

「良い物は買おう」、その対象を決めるため、プロジェクトチームは要求仕様を精査しながら、慎重に評価をすすめました。その結果、求めている機能の大半を備えている既成ソリューションを見出すことがカギとなることに気づきます。現実的でない選択肢以外は、ITVが求める機能を持つ既成品のシステムが見つからないと思われるなかで評価対象に浮上したのがCantemoでした。Cantemo PortalとVidispineの強力な組み合わせが採用の決め手となりました。目的を満たす既成ソリューションのカスタマイズという手法は、チームにとって予算を管理しやすく、外的な変化にも機敏に対応でき、将来の新しい要求にも成長できるスケーラビリティを確保することができるのです。

「良い物は買おう、無いものは作ろう」というのがプロジェクトチームに一貫するポリシーです。この考えに該当するツールが見つからないときは、要求仕様自体の再検討が必要であるということだと理解して、仕様条件を再調整して再び探しだすという作業を繰り返しました。調査のなかでこの2つのソフトウェアは要求を満たす以上のものでした。中核に備える機能は驚くほど強力で、両製品ともに拡張性を前提とした設計は、将来必要になる新しい機能を部品として特注して追加することができることを意味します。この手法は既にITVにおいて高い実績を持つ、コスト効率の良いモデルでもあります。

放送局仕様のMAM

ファイルベースの配信業務を内製化するために、ITVは放送システムに完全に統合できるアセットマネジメントソリューションを求めていました。当初から、マルチベンダによるシステムの集合体として構築することを検討していました。そのため、Cantemo Portalは多種多様な放送機器やシステムに幅広く連携させる必要が予想されました。ITVが保有する膨大なAVC DPPマスター映像データは、1ペタバイトをゆうに超える容量がIsilonのストレージに収容されています。目的のコンテンツへのリクエストは内部のスケジュール放送システムから呼び出されますこれらはnavtiv mioワークフローエンジンに渡され、Vidiscpine APIコールを通じてCantemo Portalをトリガーし、トランスコードファームに渡されます。トランスコードされたファイルは配信前に最終QCチェックを経て、主にSigniantやAsperaなどを経由し、VODまたはパートナー放送業者に送られます。

ITVは、「アノテーションツール」などの利用でワークフローの自動化を実現し、Cantemo Appsの恩恵をフルに活用しています。現在DPPデータセンターはタイムベースアノテーションメタデータを番組のファイル用に生成しています。アノテーションはVantegeトランスコーダークラスターにEDL情報を受け渡すために使用されています。トランスコーダーは、元のカラーバーや基準トーン信号が挿入された「番組納品フォーマット」の状態のコンテンツファイルを自動的に編集して、番組本編を細分化した「VODフォーマット」に作り変えます。

「ITVが今回のプロジェクトで採用した近代化アプローチは、我々Cantemo社が描く次世代のメディアアセットマネジメントシステムの未来像の方向性と完全に一致するものです。「万人が着られるワンサイズの既成服など存在しない」という事実は歴史の中で度重ね繰り返し実証されてきましたが、基礎となる基本性能が大多数の需要を満たし、かつカスタマイズ性と拡張性に富み、特定のユーザーの特定のニーズに対応できることは、Cantemo Portalが持つ、他との決定的な優位性となります。この度ITVに採用され我々Cantemo社に望みを託していただいたことを光栄に思うとともに、今後の展開に期待を膨らませずにいられません」(パーラム・アジミ Cantemo社 CEO 共同設立者)

カスタマイズ性

ITVのような大組織にとって、インターフェイスのカスタマイズ性は重要です。Portalをより普段から慣れ親しんでいる各種ツールに近い使用感に近づけることができ、導入トレーニングの負荷を低減し、大規模な導入展開の障壁が取り払われます。全組織への展開開始により、コスト削減と時間の節減の両面で多大な恩恵が得られます。

 テーマのカスタマイズ作業への参画は、プロジェクトチームが実施した他の開発を象徴する出来事でした。
標準のユーザーインターフェイスのままで求めていたほとんどの仕様を満たしていたので、最終的にカスタマイズされて完成したテーマはマイナーチェンジに留まる小規模な改変で済ました。これによりチームのリソースをより細かい部分に集中させ、「マイクロサービス」と呼ぶ追加機能を開発しました。

 移行が順調に進むなか、ITVのプロジェクトチームは主要機能が実装され稼働したことに満足しました。的確な基礎の上に綿密な目的を定義したことが大きな成果を生むことになりました。CantemoやVidispineをいったパートナーを選択することで、汎用機器で構成されたシステムにより、一般的な機器とカスタマイズ性の適正なバランスをもたらしました。パートナー各社の連携により、ITVはより多くの資源を本来取り組むべきタスクに集中させることができるのです。

 

CANTEMO
Final Cut Pro 7 との統合
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Final Cut Pro 7 との連携

final-cut-pro7Apple Final Cut Pro 7 の編集端末から、各種素材データを Cantemo Portal™メディアアセット管理システムと簡単にやりとりできるように設計されています。

Final Cut Pro 7 との連携

  • ビデオその他各種素材データのインポート
  • 共有ストレージを活かしたスムーズな協業ワークフロー
  • レンダリングされたファイルをCantemo Portalにダイレクトにエクスポート
  • シーケンスのインポート・共有
 

CANTEMOportal 
Adobe Premiere Pro CS6への統合
slide-PPRO

 

Premiere Pro CS6 とのインテグレーション

PremiereProCS6
Adobe Premiere Pro CS6のUIの一部にCantemo専用パネルが追加され、編集中の画面を離れることなくMAMと連携できます。Adobe Premiere Pro CS6への機能統合により、ユーザーが普段から慣れ親んだユーザーインターフェイス上からMAMによるファイルの移動やプロキシジェネレーションの生成による支援が得られます。

  • サーチ
  • メディアビンからのインポート
  • 共有ストレージのブラウズ
  • Portalへのエクスポート出力

 

■ 検索

PremiereProCS6
ワークフローを妨げることなく、編集に必要なコンテンツ素材をPremiere Pro CS6内からダイレクトに検索できます。

  • Cantemo Portal™に収容されたすべてのコンテンメディアの検索
  • 映像のみ、音声のみ等の絞り込み検索
  • 共有ストレージからの直接インポート
  • ビンへのインポート
  • 一度インポートされたら、通常のローカルメディアのように利用可能

 

■ メディアビン内のアイテムをインポート

mediabing
「Cantemo Portal™ MediaBin」(カンテモポータルメディアビン)を一時的にウェブインターフェイスで検索したファイルを入れるショッピングカートのように使って、メディアビンを必要なコンテンツで満たしたら、Adobe Premiere Pro CS6でインポートできます。

■ 共有ストレージをブラウズ

mediabing
Cantemo Portal™は共有ストレージのボリューム内のアセットを監視し、専用パネルを通じてAdobe Premiere Pro CS6で編集可能な素材として用意します。

  • 共有ストレージからのメディアのインポート
  • 共有ストレージからドラッグ&ドロップ操作でタイムラインにクリップ配置
  • 複数の共有ストレージボリュームの運用に対応

 

■ エクスポート

export
編集が完了したら、Cantemo Portal™にAdobe Premiere Proから直接レンダリング済みのファイルをエクスポート。キャプチャされてくる素材の出力時に欠かせないメタデータの定義も可能です。

  • カレントシーケンスのエクスポート
  • エクスポート時のメタデータ付与
  • Portal標準メタデータスキーマ対応
  • Portalで検索対象となるアイテムの生成

 

 

CANTEMO
多様なワークフローに対応する柔軟性

 

Cantemo  Portal™は、個別のユーザーニーズへの対応を前提とした柔軟性を設計段階から配慮しています。下記は異なる運用スタイルへの適用例です。

 

プリプロダクションから完パケ、アーカイブまで首尾一貫

workflow1

  1. ファイルのインポートやアップロードによる素材インジェスト、またはToolsOnAirの「just:in」によるシングル・マルチカメラによる撮影・収録や、VTRからのデジタイズによるインジェストに対応。グローファイル(インジェストが現在進行形で、生成中のファイル)のプレビューや、メタデータ編集や、収録中ファイルを利用した追いかけ編集にも対応します。
  2. システムの中枢部でアセットを管理し、ビジネススキームに即したワークフローに応じてカスタマイズし、データを整理分別。
  1. 映像クリップへのアノテーション付与、ノンリニア編集に渡す事前の工程としてEDLリストを付与するなどの下準備で時間とリソースを節約。EDLファイルの意識的なやりとりを行うことなく、アノテーションとともにノンリニア編集およびフィニッシング工程に渡すことができます。
  2. 任意のフォーマットと形態でアセットを分配、または送出機に受け渡します。XML変換マッピングを利用して、メタデータの整合性を保ちながらファイル・アセットのやり取りを行います。
  3. アセットに対するプッシュ/プル操作の自動実行のための「ルール」を定義、保持し、アセットの分配やニアラインストレージへの退避、Archiware P5 Archiveを接続してのアーカイブの自動実行を行います。

 

複数拠点間でのワークフロー

 workflow2

  1. Cantemo Portal™ workgroup MAMを各拠点にインストールし、メイン拠点と各拠点のコンテンツとメタデータをレプリケーションで同期させます。

    メタデータや指定したトリガに従った挙動をするカスタマイズされたルールにより、システムがプッシュ/プル方式別の操作を自動実行して主拠点のMAMを最新の状態に保持します。

  1. Cantemo Portal™ Enterprise MAMはメインのファイル保管場所として機能。世界各国の拠点に対してメタデータを伴ってデータのプッシュ分配とプルによる取り寄せを自動実行します。

    エンタープライズノードは冗長化構成された上で、アセットをLTOによる長期アーカイブします。