14章3 シンクロナイズをバックアップtoディスクの代わりに使用する

バックアップモジュールを使って、ハードディスク上でメディアチェンジャーをエミュレートした状態でハードディスクへの書き込みを行う場合は、ハードディスクで本来利用可能なファイルシステムの利点を活かすことができません。
このデメリットの回避策として、P5シンクロナイズモジュールを利用して、ディスクメディアに対してバックアップデータのコピーを書き込むことができます。

14.3.1 瞬時にデータが利用できるバックアップとしてのシンクロナイズ

P5シンクロナイズモジュールでは、各ファイルのコピーを別の場所(コピー先、シンクロナイズターゲット)に複製を作ることができます。

この機能は全てのファイルの属性に対応しているので、コピー先(シンクロナイズターゲット)にはコピー元(ソース)と完全に同一のデータの複製を保持することができます。

コピー先となるシンクロナイズターゲットとしては、別のストレージなどのフォルダ、ドライブ、リモートマシンなどが指定できます。

P5バックアップモジュールと同様に、P5シンクロナイズモジュールは特定のディレクトリを対象として絞り込むことができますので、任意の一部のフォルダでも、ボリューム全体でも、それらに対するスナップショットを作成することができます。

シンクロナイズでは、同じ対象の完全なバックアップを複数個取る手段として、「サイクル」と「バージョン」の2つの手段を提供しています。

「サイクル」について

サイクルでは、同期の元データソースのスナップショットをファイルシステムの異なる段階で複数回にわたって保存することができます。

シンクロナイズプランでサイクルを設定した際、P5はターゲット上の「__CYCLES」のディレクトリに、ミラーモードシンクロナイズを実行する度に、全てのデータを保管します。

シンクロナイズが実行される度に新たなスナップショットが作成されます。この機能はバックアッププランでバックアップサイクルを設定する事に相当します。任意のサイクル数を指定して、スナップショットを保持するサイクル数を設定することもできます。

「バージョン」について

バージョン機能では、さらに精度の高い設定が可能です。

一度ターゲットにスナップショットを作成したら、シンクロナイズはターゲットのデータを、増分データを更新することで、短時間のインターバルで定期的に更新し最新の状態に保つことができます。たとえば、更新インターバルを30分に設定しておいた場合、ソース側の元データのファイルが編集されると、ターゲット側のファイルも更新され、古いファイルは通常は消去されてしまいます。

「バージョン」を有効にしておくと、シンクロナイズは更新前のバージョンを「__VERSIONS」ディレクトリにファイルを個別に保管します。

サイクルとバージョンの両方を併用することで、バックアップモジュールのみの運用よりもシンクロナイズを使ったバックアップ手法は数多くのメリットがあります。

  • 面倒で時間のかかるリストア作業が不要なので、ファイルやディレクトリに運用管理の負担なく直接アクセスできる
  • 数時間前に保存した作成中の過去のバージョンにアクセスができる
  • サイクルを利用することで1週間前や2週間前の状態のファイルへのアクセスが、3世代管理方式のバックアップと同様に実現する。

※シンクロナイズの設定については6章7.1を参照ください