2章7 インサイド P5

P5はデータを保全するためのプログラムです。ローカルディスクやRAIDストレージなど、オンラインストレージに存在するファイルとディレクトリのデータを対象としています。

バックアップデータはシステムに接続されたドライブを通じてメディアに保存されます。幅広い種類のメディアや、それらに対応したドライブに対応しています。大量のデータの保存にに適したメディアライブラリにも対応しています。P5はライブラリ(チェンジャー、あるいはジュークボックスと呼ぶこともあります)を制御し、記録メディアを自動管理します。

 

2.7.1 データのバックアップ

データは「バックアッププラン」を管理することでバックアップが行えます。バックアッププランはP5データブラウザを使って設定でき、実行に必要な属性情報を保持します。バックアッププランの重要な要素を下記に挙げます。

  • バックアップ元となるデータが存在する1つまたは複数のクライアントがあること
  • 各クライアントのファイルシステムに、バックアップ元のディレクトリへのパスが1つ以上設定されていること
  • バックアップを実行する間隔
  • バックアップのレベル(モード設定)
  • バックアップを開始する時刻

ジョブスケジューラは、各バックアッププランごとに設定された時刻をもとに、ジョブを開始します。ジョブマネージャはジョブを監視し、設定された属性を精査します。

メディアマネージャは利用可能なリソースに応じて1つ以上のデバイスを割り当てるか、またはデバイスが利用するまで待機します。利用可能な各デバイスに対してジョブエグゼクタを発行し、実際のバックアップが開始されます。ボリュームが一杯になるとメディアマネージャは次のボリュームをえらんでドライブに移動させます。物理的なバックアップが完了すると、ジョブスケジューラは保存されたデータから、データの復元時に利用されるインデックスを生成します。

2.7.2 データの復元(リストアデータ)

データの復元はユーザーによって開始されます。P5データブラウザを使い、「リストアデータ」から復元するデータを指定します。また復元コンテクストメニューから、復元について以下の詳細なオプションを指定できます。

  • データを復元する復元先のクライアントとパスの設定
  • 同一ファイルが復元先の同じファイルシステム上に存在した場合の処理方法

 

これらのオプションを設定すれば、P5はファイルのリストを構築し、ユーザーにどのボリュームが動作を完了しなければならないかを通知します。1つ以上のボリュームが操作を完了させなければならない場合には、ジョブエグゼクターがメディアマネージャボリュームの交換を促します。チェンジャーが存在しない場合には、ユーザーがボリュームを手作業で交換します。ファイルとフォルダは元の状態と同一のデータに復元されます。