2-01 LiveGrade - グレーディングモードとグレーディングノードgm01

 

図1: LiveGradeのグレーディングパネル


グレーディングパネルは、複数のノードを組み合わせてイメージフィルタリングを行います。パネルは次の各部分から構成されます。

  • グレーディングモードセレクタ (Grading mode selector):    グレーディングモードをドロップダウンメニューで切り替えられます。
  • グレード名(Grade name):
  • グレーディングノードコントロール (Grading node controls):    CDLカラーコントロールなど、各種グレーディングノードの種類に応じた操作・情報が表示されます。青い色のチェックボックスで、各ノードの有効・無効を個別に切り替えられます。
  • クリアボタン(Clear buttons) … ルック全体または(LUTやトーンマッピングカーブなどの)カラー調整をクリアすることができます。
  • フィルタ設定(Filter configuration):    一時的にカラーをバイパスしたり、フィルタをかけていない元の信号の表示や、フォルスカラーモードを有効にできます。
  • パネルロックボタン(Panel Lock button)    不意な操作により現在のグレードが変更されないように、サードパーティー製のハードウェアグレーディングパネルでの操作をロックします。

その他の設定項目 (Additional Options)

グレーディングパネルには、下記の各種機能も備えています。

  • 「Neutral」ボタン … 「ニュートラル」ボタンはすべての設定(カラーおよびLUT)をニュートラルな状態にリセットします。
  • 「リセットカラー」ボタンはカラー設定をニュートラル状態にリセットします。
  • 「バイパスカラー」(Bypass Color)は、カラーコントロールでの調整をバイパスして、入力信号に3D LUT(CDL LUTモード、ACESモード)またはAlexaトーンマッピング(Alexaグレーディングモード)のみを反映させて表示します。
  • 「Show original signal」ボタンを選択すると、モニタリングデバイスから出力する映像を、入力される元の信号のままの映像に切り替えます。
  • フォルスカラー」ボタンは、モニタリングデバイスへフォルスカラーを表示します。

 グレーディングモード (Grading Modes)

カメラごとのワークフロー環境に合わせた運用ができるように、LiveGradeは多彩なグレーディングモードを備えています。

ノードベースで設計されているLiveGradeは、フィルターノードの組み合わせで多彩な色彩操作が行えます。また、ノードの順序を入れ替えたり、青色のチェックボックスにより特定のノードを無効に切り替えるなど、柔軟性で自由度の高い操作体系を持っています。 各フィルタ・ノードの処理順序は画面の「上から下方向」に順番に処理されます。

各グレーディングモード はそれぞれ異なるレベルでのグレーディングの作成・調整が行えます。各グレードには互換性が存在し、ワークフローのなかで色情報の処理の制約が発生するこ とがあります。たとえば、カメラ固有のグレーディングモードは、カメラに転送される際に互換性を保つための対策として特定の段階でロックされてしまいま す。

最も調整の自由度が高いグレーディングモードとして、「アドバンストモード」および「フリースタイルモード」の2種類がLiveGrade Pro版に用意されています。

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図 2: 利用可能なグレーディングモードの種類

 
CDL and LUT グレーディングモード

詳細についてはCDLグレーディングモードを参照ください。

CDL アドバンスト グレーディングモード (CDL Advanced) [LiveGrade Pro版]

複数のノードの追加や処理順序の入れ替えなど、より高度なワークフローに対応します。
このモードはLiveGrade Proのみで利用できます。

ACES CDL グレーディングモード [LiveGrade Pro版]

ACES規格に適合するモードです。詳細についてはACESグレーディングモードを参照ください。
このモードはLiveGrade Proのみで利用できます。

ACES CDL アドバンスト グレーディングモード (ACES CDL Advanced) [LiveGrade Pro版]

同じくACES規格に適合するモードです。複数のノードの追加や処理順序の入れ替えなど、より高度なワークフローに対応します。
このモードはLiveGrade Proのみで利用できます。

Alexaルック グレーディングモード (Alexa Looks)

「Alexa Looks」グレーディングモードでは、Alexaカメラ向けにARRI社によって制定されたカラーコントロールに準拠し、AlexaカメラからのLog-C SDI信号のグレーディングを前提としたグレーディングモードです。

Amira 互換 グレーディングモード (Amira Compatible)

ARRI AMIRAカメラに対応したAMIRAルック(.aml)を作成します。

Varicam互換 グレーディングモード (Varicam Compatible)[LiveGrade Pro版]

パナソニック Varicam 35カメラに対応した3D LUTおよびルックを作成します。このモードはLiveGrade Proのみで利用できます。

フリースタイル グレーディングモード (Freestyle) [LiveGrade Pro版]

完全に自由なグレーディング調整操作を実現するモードです。自由度を高めた一方、このモードで作成されたエクスポート可能な形式には多少制約があります。
このモードはLiveGrade Proのみで利用できます。

フリースタイル ACES グレーディングモード [LiveGrade Pro版]

ACES規格に沿った完全に自由なグレーディング調整操作を実現するモードです。

ノード編集 (Node editing) [LiveGrade Pro版]

CDLアドバンストおよびフリースタイルグレーディングモードでは、フィルターノードの並び替えや追加、削除が行えます。
「Edit」をクリックすることでグレーディングノードのカスタマイズが行えます。

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図 3: 「Edit」ボタン

エディットモードに入ると、ドラッグ・ドロップ操作でノードの入れ替えができます。
ノードは「x」ボタンをクリックして削除できます。
グレーディングモードに「+」ボタンで新たなフィルタノードを追加します。
新規追加するノードは次の選択肢から選びます。


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図4: 新規追加ノードオプション

プロダクションワークフローに応じて、グレードデータの最適な互換性を得られるために、また目的に応じたフォーマットでグレードをエクスポートできるためにもグレーディングノードの処理順序に関する制約が存在します。フリースタイルモードはこうした制約はありませんが、一方でエクスポートできる形式は3D LUTに限られ、CDLでの出力はできません。
互換性については、下記の制約が存在します。

  グレーディングモード
  CDL and LUT CDL Advanced ACES CDL ACES CDL Advanced Alexa Look Amira Look Varicam Freestyle ACES Freestyle
ノード (not editable) 1CDL, 1Sat, 1LUT3D xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary (not editable) 1IDT, 1CDL, 1Sat, 1ODT 1IDT, xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary, 1ODT Alexa Look has fixed nodes
xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary, xLUT3D xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary, xLUT3D xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary 1IDT/1ODT, xCDL, xSat, xLUT1D, xLUT3D, x2ndary
序列 (not editable), CDL + Sat + LUT3D xCDL + xSat (All CDL nodes together, all saturation nodes together) (no edit) IDT + CDL + Sat + ODT xCDL + xSat (All CDL nodes together, all saturation nodes together), IDT before ODT, Alexa Look has fixed nodes
xCDL + xSat (All CDL nodes together, all saturation nodes together), nothing before xCDL+xSat xCDL + xSat (All CDL nodes together, all saturation nodes together), nothing before xCDL+xSat   IDT before ODT
デフォルトノード CDL + Sat + LUT3D CDL + CDL + Sat + LUT3D         CDL, Sat, LUT3D    


* 表中のxCDL,xSatなど、(x)が付く表記は複数のノードを意味します。

*エクスポートが可能なルックの組み合わせについては、ルック・LUTのエクスポートについてを参照ください。

 
利用可能なグレーディングノード

CDLノード (CDL Node)

CDLノードはオフセット、パワー、スロープの3つの調整用カラーホイールを備えています。


gm05図5: CDLノード

 カラーホイールの表示サイズは環境設定で変更できます。お使いのディスプレイに応じた表示サイズを指定ください。


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図6: CDLコントロール環境設定

簡単に調整が行えるよう、さらに環境設定では「Temp and Tint」ボタンがあります。「ゲイン」(スロープベース)または「プリンターライト」(オフセットベース)から選択できます。「プリンターライト」に設定した場合、通常はLUTで使用されます。一方、「ゲイン」では一般的なホワイトバランスフィルタの動きをします。

CDLノードは外部ハードウェアパネルからの操作に対応しています。

3D LUT ノード

3DLUTノードは「Load…」から読み込んだ3D LUTデータを利用するノードです。 Rec.709カラースペースへの変換など、プリセットで用意された3D LUT値の適用もできます。


gm07図 : 3D LUTノード

 
サチュレーションノード

ルックの彩度(サチュレーション)をスライダーで調整します。

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図 :サチュレーションノード

 
カーブノード

gm09図 : カーブノード

カーブノードは1D LUTカーブを調整します。「Edit」をクリックすると、カーブエディタ画面が開き、カーブを編集して微調整が行えます。

    カーブ上をクリックして調整点(ポイント)を追加したり、調整点のドラッグ・ドロップで値を調整できます。
    ポイントをエディタ画面外にドラッグすればポイントが削除できます。
    カーブエディタ上にマウスポインタを合わせると数値で値が表示されます。


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図  : カーブエディタウィンドウ

 
HHS ノード

HHSノード(HueトゥHue アンド・サチュレーション)は、映像上の特定の色相(Hue)領域を絞りこみ、色相・サチュレーションを変化させて別の色と置き換えることができます。次の例では、シャツの赤色だけをサチュレーションを下げて脱色しています。

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HHSエディタは色相環(Hueサークル)上でのドラッグ・ドロップ操作が行え、置き換え元と置き換え後の色をカラースペース上指定できます。

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図 :  HHSエディター